見知らぬNさん

 

私は顔を知らない、少し珍しい名前のNさんを知ってる。

Nさんに関わる人たちに会って、いろんな情報が記憶されてる。

  

20代半ば、働いてた会社の繁忙期はとにかく多忙で。よく午前様になった。

 

一人暮らしのアパートに帰って、駐車場の車内で制服のまま寝てしまって、朝陽が眩しくて目が覚めたことも2、3度あった。今考えると怖いな。

  

社長は黒を白にしなさいっていうタイプの人。

 

私も新規事業の開発や、システム会社の出向と色々経験させてもらった。

 繁忙期だけ、派遣社員を雇う。

その派遣の中に松田聖子似のキレイな女性がいた。

事務所のみんなと恋バナ(死語かも)をする。

松田聖子似の女性は、バツイチで子供が二人いた。

バツイチのNさんと付き合っていて、子供も懐いてるって言ってた。

 

事務所の仲のいいメンバーで、松田聖子似の女性の家に行ったとき。

玄関先にNさんの荷物が大きなトランクに入れて出されてる。

喧嘩して「帰って来んなーー」って言ったらしい。

別れ間近だったようだ。

松田聖子似の女性は契約期間満了後も、連絡をとってたけど、その後音信不通になった。

 

 

ある年のキャンプに行けなかったお盆に、友人に連れられて、薄暗いバーみたいな店に行った。

友人の他に数年ぶりに会う先輩もいた。

先輩が彼をよんで、一緒に飲むと言い出す。

呼び出された彼が来た。

色々話してるとNさんと同じ会社の人だと知った。

初対面だけどNさんのことを聞いたら、僕の上司です。

会社の席は左隣だって。

へぇーー。そうなの?世間は狭いね。

 

 

それから数年たって、私が結婚後から長男を授かるまで働いてた会社で、Nさんという女性と知り合った。

Nさんは、私と入れ替わりで退社が決まってたけど、引継ぎで仲良くなって、一緒に岐阜まで、スノボツアーに参加した。

小柄で可愛いい人。私はすぐに気づいた。

この女性はNさんの元奥さんってことに。

若くしてNさんの子供を授かりシングルで男の子を育てていた。

きっと子供も成人してる歳。

医学部に入れたいなんて夢を語ってたけど、何してるんだろう。

 

Nさんは、どんな人なのか知らないけど、きっとかなりモテる人でいつも、キレイな女性がいるんだろうなと想像する。

 

 

 

 

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---粛々と 淡々と---